ソロでランクを回していて、「格上に撃ち負けて死んだ」試合より、「なぜかいつの間にか囲まれて、何もできずに溶けた」試合のほうが悔しい。そんな覚えはないでしょうか。リプレイを見返すと、たいていは撃ち合いが始まる前に勝負がついています。自分から、見えていない場所へ踏み込んでいたのです。反応速度やコンボの精度より先に、上位帯と中位帯を分けているのは、この「見えない所で死なない」力、つまり視界(索敵)の扱いです。派手さはなく、スコアボードにもほとんど残らないのに、勝敗にはいちばん効く。この記事では、なぜ視界がそこまで勝敗を左右するのか、マップの危険地帯をどう考えるか、主要な目標を取る前に何を準備すべきか、そして「見えない=そこに居る」という上級者の発想を、細かい数字に頼らずに整理します。
見えている範囲でしか、安全には動けない
視界がなぜ効くのかは、突き詰めるとひとつの原則に行き着きます。このゲームでは、見えている範囲でしか安全には動けない、ということです。マップの大半は普段、霧に沈んでいて暗い。あなたが本当に把握できているのは、自分と味方、そして味方が置いた視界が届くわずかな範囲だけです。残りの暗い場所には、相手が居るかもしれないし、居ないかもしれない。確かめる手段がなければ、それは常に「居るかもしれない」のままです。
ここで効いてくるのが情報の非対称です。先に相手を見つけた側は、仕掛けるか、退くか、無視するかを選べます。見つけられた側は、相手の判断に付き合わされるだけで、選ぶ余地がありません。だから腕前が互角でも、先に見た側が勝ちます。視界とは、撃ち合いが始まる前に、戦うかどうかの主導権を握っておくことなのです。逆に言えば、視界のない場所へ自分から歩いていくのは、その主導権を相手に無償で渡す行為にほかなりません。
「見えない=そこに居る」で地図を読む
初心者とそうでない人の差がいちばん出るのが、敵がミニマップに映っていないときの受け止め方です。映っていない=近くにいない、安全だ、と読むのか。それとも、映っていない敵は「どこにでも居られる」と読むのか。ここが分かれ目になります。
上手い人は後者で考えます。「今、相手のジャングラーもサポートも画面に映っていない」と気づいた瞬間に、「では、いま最も危険な場所はどこか」を逆算し始める。見えない時間が長引くほど、それを平和の証拠ではなく、どこかで仕掛けの準備が進んでいる合図として警戒を上げます。とくに相手のジャングラーが長く姿を消しているときは、あなたのレーンの茂みか、目標の周りか、どこかへ向かっていると考えて、まず間違いありません。「見えないこと」を、不在ではなく不明と読み替える。この一手間だけで、いわゆる不意打ちの大半は防げます。
危険地帯を、踏み込む前に決めておく
マップは、二色に塗り分けて考えると急に扱いやすくなります。自分たちの視界が届く「安全地帯」と、視界の切れた「危険地帯」です。危険地帯とは、川、相手の陣内、視界の消えた茂み、押し込んだレーンのさらに奥、要するに、そこに敵が居ても事前に気づけない場所すべてを指します。
事故は、ほぼ例外なくこの危険地帯で起きます。しかも厄介なのは、勝っているときほど踏み込みやすいことです。リードすると気が大きくなり、レーンを押し込み、その勢いのまま暗い茂みへ入ってしまう。ですが一本のレーンを押し切った瞬間、その先の茂みは全部が危険地帯に変わっています。ここで大切なのは、視界のない場所に入る前に一拍置く癖です。ミニマップを一度見て、消えている敵の数を数え、危険地帯に入る価値が本当にあるかを確かめる。この一拍が、せっかくのリードを吐き出す無駄死にを、目に見えて減らしてくれます。
主要な目標は、殴り始める前に視界から
試合を決めるのは、たいてい大きな中立目標の取り合いです。Honor of Kings なら、ダークと呼ばれる大型モンスターや、陣営を割るための強敵がそれにあたります。そして皮肉なことに、これらの周りはマップで最も事故が起きやすい場所でもあります。目標に夢中で殴り始めたところへ相手が湧いて出れば、目標も、そのために集まった味方の命も、両方まとめて失いかねません。
だから、正しい順番は逆です。殴るのが先ではなく、視界が先。まず目標の周辺に視界を確保し、相手が何人、どこから来るのかを把握し、安全だと確認できてから手をかける。視界を取る狙いは二つあります。ひとつは不意打ちを防ぐこと。もうひとつは、相手の位置を先に知って、向こうの仕掛けを読むことです。目標が何分に湧くのか、湧く何秒前から準備すべきかといった正確なタイミングはゲーム内で確認するとして、理想は「湧く前に、視界だけ先に置いておく」こと。この準備の差が、そのまま目標の取り合いの勝敗になります。
視界は、取る手段を持っている人に集まる
視界は、待っていても手に入りません。暗い場所を先に照らすには、そのための道具と役割が要ります。相手の位置を暴いたり、一定の範囲を見えるようにしたりする手段は、ヒーローのスキルのほか、バトルスキルや装備、設置できる視界といった形で用意されています。ただし、いくつ置けるか、どれくらいの範囲が見えるか、効果が何秒続くかは、手段ごとにまるで違います。ここは断定できる部分ではないので、オトモリンバオのバトルスキル一覧などで効果を確かめ、あくまで目安として頭に入れておくのが安全です。
役割としては、サポートやロームが視界取りの主担当になりがちです。けれど本当は、視界は全員の仕事です。ジャングラーが目標の前に一枚照らす、マークスマンが押し込む前に脇の茂みを確認する。その小さな積み重ねが、チーム全体の「見えている範囲」を少しずつ広げます。どのヒーローがいつ強く、どこで前に出るべきかは相性や時間帯によっても変わるので、立ち回りに迷ったらヒーロー図鑑で各ヒーローの序中終盤の動きを確認しておくと、危険地帯に踏み込むかどうかの判断そのものが速く、正確になります。
見えない所で死なない、それだけで勝てる
視界は、最後まで地味な技術です。うまく取っても与ダメージは増えないし、キル数も伸びない。スコアボードには一行も残りません。それでも、「見えない所で死なない」を徹底するだけで、無駄死にが減り、目標が安全に取れるようになり、勝率は静かに、しかし確かに上がっていきます。反応速度やコンボを磨くのは、そのあとでいい。まずは撃ち合う前に、地図の暗い所へ目を向ける。見えていない敵は、いつでもそこに居る。そう思って一拍置ける人が、ソロで長く勝ち続けます。自分に合った視界の取り方や、各ヒーローの立ち回りをもう少し詰めたくなったら、オトモリンバオを相棒にしてみてください。