「なんでこの試合、こんなに苦しいんだろう」。その原因が、実はまだ誰も動いていないピック画面にあった、ということは珍しくありません。いつもの得意ヒーローを取ったら味方と役割がかぶり、相手は最後にこちらの編成が対処しづらい一枚を合わせてくる。気づけば試合開始の時点で、もう坂道を登らされている。しかもこの采配を、制限時間のなかで、チャットも打ちながら30秒ほどで決めなければなりません。

難しいのは当然で、Honor of Kings(オナーオブキングス)の1回のピックは「そのヒーローが強いか」だけの話ではないからです。味方4人とどう噛み合うか(シナジー)と、相手5人にどう当たるか(相性)。そのふたつの関係を同時に背負っています。100体を超えるヒーローについて、その両方を頭の中で回すのは、半分だけの持ち時間ではまず無理。だから多くの人は「とりあえず得意なのを出して祈る」に落ち着きます。

この記事の発想はシンプルです。データは頭で覚えなくていい。ピックが決まるたびに入力して、シナジーと相性を画面に出させてしまえば、30秒は「暗記」ではなく「判断」に使えます。先ピックと後ピックで何が変わるのか、苦手を消すBAN、相棒を足すピック。その組み立て方を順番に見ていきましょう。

編成のバランスを数値で診断(味方vs相手のレーダー+勝率比較)|オトモリンバオ

なぜピック画面で、もう勝負は半分ついているのか

すべてのピックは、ふたつの賭けを同時に行っています。味方とのシナジーに賭け、相手との相性に賭ける。だから「単体では強い」ヒーローでも、味方にもう同じダメージ型が揃っていたり、相手にそれを黙らせる一枚がすでにいたりすれば、そのピックは悪手になり得ます。逆に、地味なヒーローが正解になることもある。コンボを完成させたり、編成の穴を埋めたりするからです。

つまり、ティア表の順位だけでピックを決めると、このふたつの軸をどちらも無視することになります。ランキングが教えてくれるのは「上手く使えばどこまで強いか」という天井であって、「このドラフトに噛み合うか」ではありません。そして実際にソロランクの勝率を動かすのは、後者のほうです。

ここが道具の出番です。あなたの代わりに決めさせるのではなく、関係を覚えておいてもらって、噛み合うかどうかを速く判断するために使う。オトモリンバオのピック分析では、味方を5枠、相手を5枠、BANをその枠に入れていくと、それぞれの側の中のシナジーと、両者をまたいだ相性を読み取り、枠が埋まるたびに絵を描き直してくれます。頭の中の付箋を、画面に貼り替えてしまう感覚です。

先に置くか、後に置くか。手番で読み方が変わる

ドラフトの読み方をいちばん大きく左右するのは、自分の手番です。

先に置くときは、情報が少なく、そのぶん狙われやすい。こちらが見せた手に、相手は後から合わせてこられます。だから先ピックには、何が来ても腐りにくく、手の内を丸ごとは明かさない、柔軟で対策されにくいヒーローが向きます。明確な天敵を持つ専門特化の一枚を、いちばん最初に晒してしまわないことです。

後に置くときは、この関係が裏返ります。相手が何にコミットしたかが見えている以上、その情報は使い切るべきで、相手の編成を咎めるヒーローか、自分の編成に足りない穴をちょうど埋める一枚を取りにいく。後ピックは、良い当て方ができれば、それだけで有利をひとつ拾える場所です。

ピック分析には自分が先ピックかどうかの切り替えがあり、そして何より、相手のピックを見えた順に入れていけます。序盤、相手側がまだ空のうちは、シナジーと編成バランスを見ながら選択肢を広く保つ。終盤、相手の五枚(あるいはそこまでに確定した分)が入れば、今度は相性の読みが主役になります。空を相手に想像するのではなく、具体的な何かに対して置ける。同じ一手でも、手番によって「何を見るべきか」がまるごと入れ替わるわけです。

苦手を消すBANと、相棒を足すピック

ピック画面が与えてくれる二つの行動、つまりBANとピックは、そのまま二つの軸に対応します。

BANは、弱点が現れる前に消しておく道具です。ありがちな失敗は「全体で一番強いヒーロー」を、みんなが反射的に切るからと同じように切ること。もっと良い問いは「自分のプランに刺さるのは誰か」です。こちらが飛び込み型のアサシンを軸にするなら、いちばん効くBANは、話題のSティアの名前ではなく、その飛び込みを受け止めて無力化する守りの一枚かもしれません。ピック分析は、広くBANされているヒーローをBAN率とともに挙げてくれますし、相手があと一枚で噛み合わせるコンボが見えていれば、その一枚を先に落とす、という読み方もできます。BANできる数はランク帯で変わり(上位ほど多い)、その数を帯に合わせて調整してくれるので、一つひとつのBANを「本当に問題を取り除く」ために使えます。

ピックは、相棒を足す道具です。「このヒーローが強いか」の先に、「すでにいる4人と噛み合うか」を問う。これがシナジーの側で、いちばん目視しづらいところでもあります。ピック分析は、あと1枚で完成するコンボを見張っていて、しかも自分の手持ち(マイヒーロー)で絞り込めるので、触ったこともないヒーローではなく、実際に使える中から相棒を挙げてくれます。単独で浮いた「強い」ピックより、自分で回せる噛み合いを完成させるほうが、ずっと勝ちに近い。

特定の噛み合わせをもっと深く知りたいとき(自分の得意ヒーローが誰に弱く、誰と組むと強いのか)は、各ヒーローのページにまとまっています。オトモリンバオのヒーロー図鑑の相性(相棒・有利・苦手)はその「理由」まで書いてあるので、なんとなくの「この相手やりづらい」を、「これをBANする/このレーンは避ける」という具体に変えられます。

編成の「尖り」と「穴」を一枚で見る

一つひとつのピックがそれぞれ悪くなくても、足し算した編成が壊れていることはあります。典型が、ダメージ型がひとつに偏った編成です。相手が対応する防御装備を一つ買うだけで、チーム全体の火力がしぼんでしまう。

編成が埋まっていくあいだ、ちらっと見ておきたいのはこのあたりです。

  • ダメージの型:物理と魔法が偏っていないか(片寄ると対策装備ひとつで火力が落ちる)
  • 前を張る枚数:飛び込みを受け止めるタンクや前衛がいるか
  • 仕掛けと守り:戦闘を始める役と、味方を守る役がそろっているか
  • 強くなる時間:序盤型か終盤型か、チームの山場がバラけていないか

ピック分析はこの見立てを一つの画面にまとめます。火力と耐久のバランス、前後の構え、編成がだいたいいつ強くなるのか、そしてシナジーが実際にどれだけ成立しているか。だから、手探りで感じ取るのではなく、編成の「尖り(強み)」と「穴(埋めるべき所)」をひと目で押さえられます。目指すのは満点の編成ではありません。穴を一つ、次のピックで塞げるうちに気づくことです。

ピック中の30秒に、そのまま組み込む

ここまでの話は、別枠の宿題としてやるなら意味がありません。生きたドラフトの中に収まってこそです。使い方はシンプルで、ゲームの隣で開いておき、ピックとBANが確定した瞬間にそれを入れていく。おすすめとバランスの表示は進むごとに更新されるので、自分の番が来る頃には候補がもう並んでいます。選んで、入れて、次へ。

続けるほど効いてくることが二つあります。ひとつは、ピックが過去に記録した試合と一致すると、そのマッチアップについて自分で書いたバトルメモが自動で引用されること。「前回この相手に、序盤で走り負けた」という自分の言葉は、どんな一般論より重い。もうひとつは、そのドラフトをバトル記録として残しておくこと。編成がなぜ苦しかったのかを後から振り返るのが、次のドラフトを速くする近道です。何セッションか続けるうちに、いちいち調べていた読みが、そのまま「知っている」ものに変わっていきます。

まとめ:道具にデータを持たせ、30秒を判断に使う

ピック画面は、試合前の空白時間ではありません。いちばん早く、いちばん安く優位を取れる最初の場所です。そこで勝つのは、ティア表を暗記した人ではなく、ふたつのこと(味方とのシナジーと、相手との相性)をうまく読み、BANで弱点を消し、ピックで相棒を足せた人です。データは道具に持たせて、あなたの30秒は判断に使いましょう。次にドラフトが開いたら、決まった順にピックを入れてみてください。「勘で選ぶ」場面が、驚くほど減っているはずです。

ソロランクを一段上げたいなら、まずは次の一戦のピック画面で試すのがいちばん早いはずです。→ オトモリンバオ